『感染制御認定薬剤師』ってどんな資格?役割と資格取得に必要なことを教えて

2019年12月に中国の武漢市で初めて検出された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、感染症対策の重要性が再認識されるようになりました。病院などの医療提供施設内で起こるさまざまな感染症は、ときには患者やその家族だけでなく、医療従事者に対して被害をもたらす場合もあります。そうした中で、感染制御を専門とする『感染制御認定薬剤師』の役割が注目を集めています。

この記事では、『感染制御認定薬剤師』について知りたいと考える薬剤師に向けて、資格の概要や役割、取得するための方法について解説していきます。

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『感染制御認定薬剤師』とは

『感染制御認定薬剤師』とは、日本病院薬剤師会が認定を行う資格の一つであり、感染制御に関する高度な知識、技術、実践能力を有する薬剤師を認定する資格です。感染制御を通じて、患者に安心・安全で適切な治療を提供するとともに、感染症治療における薬物療法を適切かつ安全に行うことが目的とされています。感染制御に必要な消毒薬、微生物、耐性菌等に関する基礎知識や、病態、患者特性、医薬品の薬理作用及び体内動態等を十分に理解していることが求められています。

平成20年度より資格制度が施行され、令和元年10月1日時点の認定者は、合計1,050名(うち更新者464名)となっています。さらに上位の資格として『感染制御専門薬剤師』もあり、さらなる経験を積むことによって、ステップアップを目指すことも可能です。新型コロナウイルス感染症の拡大により、感染症対策の重要性が再認識されており、今後注目される資格の一つになると考えられています。

『感染制御認定薬剤師』の役割と期待、活躍する場所

『感染制御認定薬剤師』は、感染症の発生抑制や耐性菌の対策など、病院内の感染症対策全般にわたり力を発揮することが期待されています。感染症の発生を早期発見して予防に努めるとともに、感染症患者に対する適切な薬物療法の提案や管理を行います。抗菌薬や消毒薬の適正使用を推進することや、感染制御に関する情報を地域の他施設と共有することもあります。

soudan_18_b.jpg『感染制御認定薬剤師』が活躍する代表的な場所の一つに、病院内のICT(Infection Control Team:感染対策チーム)があります。ICTでは、感染制御医師(ICD)や感染管理認定看護師などのさまざまな職種と連携して、病院内で発生するさまざまな感染症から、患者やその家族、医療従事者の安全を守るための活動を行います。

『感染制御認定薬剤師』の資格取得方法

『感染制御認定薬剤師』の資格を取得するためには、所定の要件をすべて満たした上で認定申請を行い、「感染制御専門薬剤師部門認定審査委員会」の審査に合格する必要があります。認定期間は5年間で、必要な要件を満たすことで更新が可能です。


【参考感染制御認定薬剤師認定申請資格

1)日本国の薬剤師免許を有し、薬剤師として優れた見識を備えていること。

2)薬剤師としての実務経験を3年以上有し、日本病院薬剤師会の会員であること。ただし、別に定める団体のいずれかの会員であればこれを満たす。

3)別に定める学会のいずれかの会員であること。

4)日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。

5)申請時において、病院または診療所に勤務し、3年以上、かつ、申請時に引き続いて1年以上施設内において、感染制御活動(院内感染防止対策委員会、院内感染対策チーム、抗菌薬適正使用支援チーム(以下、委員会・チーム)の一員、委員会・チームと連携した活動、あるいは他施設の委員会・チームと連携した活動など)に従事していること(所属長の証明が必要)。

6)施設内において、感染制御に貢献した業務内容及び薬剤師としての薬学的介入により実施した対策の内容を20例以上報告できること。

7)日本病院薬剤師会が認定する感染制御領域の講習会、及び別に定める学会が主催する感染制御領域の講習会などを所定の単位(20時間、10単位)以上履修していること。

ただし、日本病院薬剤師会主催の感染制御に関する講習会を1回以上受講していること。

8)病院長あるいは施設長等の推薦があること。

9)日本病院薬剤師会が行う感染制御認定薬剤師認定試験に合格していること。

令和元年1221日改定、令和241日施行の要項を掲載しています。最新の要項については、日本病院薬剤師会のホームページを参照してください。


【まとめ】
専門性を高めて必要とされる薬剤師を目指し、キャリアの選択肢を増やしていきましょう

『感染制御認定薬剤師』の認定は10年以上前に始まりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により感染制御の必要性が再認識され、多くの専門家から注目が集まっています。資格を取得することにより、ICTの一員として感染制御医師(ICD)や感染管理認定看護師から信頼を獲得するだけでなく、日々の薬剤師業務に役立つことも期待されています。

感染症対策は、今後ますます必要不可欠な専門分野になっていくと考えられているため、キャリアアップにおいてもおすすめの分野の一つです。興味を持った方は、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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