【オンライン服薬指導】の経験は、これから薬剤師にとって必須になる?

オンライン服薬指導とは、スマートフォンやタブレットなどの情報通信機器を使用して、薬剤師が患者に服薬指導を行うことのできる仕組みのことをあらわしています。2020年9月1日に施行された改正薬機法によって、オンライン服薬指導の本運用がはじまりました。薬剤師と患者の双方にメリットのある仕組みであることから、導入に積極的な施設も多いですが、現段階ではまだまだ普及しているとはいえません。

一方で「オンライン服薬指導」に関連するキャリア相談は右肩上がりで増えてきています。そこでこの記事では、オンライン服薬指導について知りたいと考える薬剤師に向けて、オンライン服薬指導の概要や期待されること、今後の課題について解説していきます。

soudan_17_a_ogp.jpg

オンライン服薬指導の広がり、今後の展望

近年の情報通信技術の発達により、私たちの生活はますます便利になりつつあります。医療業界においても、オンライン診療やオンライン服薬指導などの新たな取り組みがはじまっており、特に医療資源の乏しい地域に住む患者や、さまざまな事情により外出が困難な患者にとっては、多くのメリットが期待されています。

2020年9月1日から正式に運用のはじまったオンライン服薬指導ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けた厚生労働省事務連絡(0410通知)により、既に初診からオンライン診療や服薬指導が認められていました。こちらは時限的・特例的な措置であるため、実際の本運用とは一部要件が異なりますが、医療機関や薬局における感染リスク軽減を目的に導入した施設も多く、順調に普及しているといえるでしょう。

現時点では、対面服薬指導が実施済みの患者であることや、当該薬局で調剤したものと同一内容の薬剤であることなど、オンライン服薬指導を実施するための要件が定められていますが、今後は要件が緩和され、より多くの患者が利用できるようになることが期待されています。さらに、オンライン診療・服薬指導を提供する医療機関が増え、オンライン服薬指導のアプリが導入されるなど、よりスムーズにサービスを提供できる体制が整いつつあることから、オンライン服薬指導は今後さらに普及していくと考えられています。

オンライン服薬指導の期待と課題

オンライン服薬指導にはさまざまな期待が寄せられていますが、まだまだ課題も多いのが現状です。
ここでは、薬剤師の視点でメリットやデメリットについて解説していきます。

soudan_17_b.jpg・オンライン服薬指導に期待されることとは(メリット)

オンライン服薬指導は、患者が薬局に来局することなく、自宅にいながらにして服薬指導を受けられることが特徴です。移動の手間が軽減されることはもちろん、薬局内における感染症のリスク軽減効果も期待されています。また、超高齢化社会の到来を目前に控えた本邦では、在宅医療の需要が増えることが見込まれており、業務の効率化が求められています。遠く離れた患者に対して服薬指導が行えるオンライン服薬指導の普及は、在宅医療における薬剤師の負担軽減という観点でも注目を集めています。

・オンライン服薬指導の今後の課題とは(デメリット)

オンライン服薬指導は、従来の対面による服薬指導に比べて、やり取りできる情報に限りがあります。対面であれば気づくことのできる些細な変化でも、オンラインであれば見落としてしまうというケースも想定されます。高齢者や情報通信機器を利用したことのない患者では、情報リテラシーの低さなどにより、端末の操作に不安があるということもありますね。患者との円滑なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが求められる薬剤師にとっては、大きな課題の一つといえるでしょう。


【まとめ】これからの薬剤師のキャリアを考えたときにオンライン服薬指導とどう向き合うべきか

soudan_17_d.jpgこの記事では、オンライン服薬指導の概要や期待されること、今後の課題について解説していきました。薬剤師による服薬指導は、これまで原則対面でしか認められていませんでしたが、オンライン服薬指導が解禁されたことは大きな前進です。医療資源の乏しい地域における活用はもちろんのこと、新型コロナウイルス感染症をはじめとする各種感染症の拡大防止においても、役割が期待されています。

一方で、高齢者や有する疾患によってはスマートフォンやタブレット端末の操作に不安があることや、医薬品の配送方法における問題点、システム導入の費用など、オンライン服薬指導には課題も多いのが現状です。つまり、技術的課題と関わる人の適応課題が併存している状態にあると言えます。

近い将来、薬剤師の多くはオンライン服薬指導に携わる時代が訪れます。「環境に左右されない、コミュニケーション力・患者との信頼関係構築力」、「新しい課題を早く前向きに受け止め、乗り越えていく力」は、これからの薬剤師にとって、益々求められるソフトパワーとなり、希少価値を生むキャリア(経験)になっていくことでしょう。