薬剤師は業種によってどのぐらい給与に差がでるの?|給与の相談(2)

20190514_01og.jpg前回は、薬剤師の給与は「需要と供給」によって決まるというお話をしました。今回は薬剤師の主な就職先である、調剤薬局、病院、ドラッグストアの業種別の給与についてご説明していきたいと思います。

薬局と病院とドラッグストア。どうしてこの3つなんですか?

私立大学薬学部の進路を見てみると、調剤薬局35.5%、病院・診療所27.0%、ドラッグストア4.4%となっています。この3業種だけで約7割を占めており、薬学生の主要な就職先です。薬剤師として調剤業務を中心とした仕事をするのが主流と言えますよね。残り約3割の就職先は、大学院や行政職、化粧品会社、商社など様々です。(参考:東洋経済2017年11月 薬局の正体)

同じ薬剤師でも、そんなに給与が違ってくるのですか?

業界大手のアインファーマシーズの2020年度新卒採用では、「初任給 月給250,000円~380,000円(残業手当・通勤手当などは別途支給)※週40時間勤務の場合」となっています。(参照:株式会社アインホールディングス 2020年度新卒採用募集要項

同じく業界大手の日本調剤では、薬学部(6年制)卒業見込みで、「初任給 月給250,000~310,000円(薬剤師手当、地域手当を含む)※2018年度実績」とされています。(参照:日本調剤株式会社 2020年度新卒採用募集要項

2018年の全ての大学卒の初任給平均は、20万6,700円です。大手調剤薬局の初任給はかなり高いことが分かりますね。(参照:厚生労働省 2018年(平成30年)賃金構造基金統計調査(初任給)
アインファーマシーズと日本調剤という調剤薬局の大手2社の初任給で比較すると、最低月給は同じですが、最高月給は7万円の差があります。これは地域手当や賞与などもあるため、一概にどちらが高いとは言えません。

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それでは、調剤薬局の中途入社の給与はどうなんですか?

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中途入社の場合は、勤務地や管理薬剤師などの役職等、様々な要因によって差もありますが、およそ年収400万~600万円となります。そして同じ調剤薬局でも、中堅・個人薬局の方が給与は高い傾向にあります。年収450万~650万円くらいとなるでしょうか。

これは前回ご説明したとおり「需要と供給」のバランスが影響していますね。大手薬局は福利厚生や教育制度が整っていたり、安定しているという印象が強かったり、大きな総合病院の門前にあることが多いなど、薬学生や薬剤師の応募が集まりやすいためです。

それに比べて中堅・個人薬局では、求人募集を出してもなかなか応募が来ないなど採用に苦戦することもあり、給与面の条件を上げる必要が出てきます。地方の中堅・個人薬局であれば、初年度で年収500万円を超える薬局も珍しくはないのですよ。

大手より個人経営の薬局の方が給与が高めなんですね!そういえば病院の給与は安いと聞いたことがあります。

そうですね。調剤薬局に比べると、病院の給与は低い傾向にあります。医薬分業の開始前は調剤ができる薬剤師は病院にしかいませんでしたが、医薬分業が広まるにつれて調剤薬局の薬剤師の給与を上げることで薬剤師を確保した側面もあり、調剤薬局の給与水準の方が高くなったのです。

例えば、高血圧糖尿病胃炎(内服薬28日分)を調剤すると、院内の調剤は調剤技術基本料の80円と定額の90円なのに対して、院外処方箋だと調剤基本料、後発医薬品調剤体制加算、一包化加算、薬剤服用歴管理指導料など様々なに加算され、最終的には院内調剤の料金は1,390円に対して、調剤薬局では6,080円にもなります。給与として支払える原資が違うので、それが給与に跳ね返ってしまいます。もちろん病院であれば入院患者さんへの調剤があるので他に収入源はありますが、薬局のように売上(収入)を上げるために多店舗展開が出来ず、給料の原資となる収入を増やすことができないのです。
(参考:東洋経済2017年11月 薬局の正体)

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病院の場合は他に入退院時に加算が取れますが、入退院が数多くあるというのは、病床数が多く、平均在院日数が短いということになります。これは急性期の総合病院が該当しますが、薬剤師に人気がある職場のため、需要と供給の関係で給与は上がりにくいと言えます。

そして、調剤薬局であれば職種は薬剤師が中心で他は医療事務しかいませんが、病院は医師を中心に看護師など他の人材不足の職種もありますので、薬剤師に対する給与は優先順位が低くなるという傾向もあるのです。


病院には給与が上がりにくい事情があるんですね。ドラッグストアはどうですか?

ドラッグストアは、新卒でも中途でも給与が高めだと聞いたことはありませんか?ドラッグストア業界は、小売業の中でも給与が高い業界なのです。転職サイト「キャリコネ」などを運営する株式会社グローバルウェイの2018年の調査によると、「小売業界の年収ランキング」では、1位サンドラッグ、2位スギ薬局となっています。

ドラッグストアは収益性の高い化粧品と医薬品を扱っており、これを原資に雑貨や食品のディスカウントを行っています。店舗が増えれば大量の仕入れをすることができ、仕入れ価格は下がり更に利益が出る構図です。

今はドラッグストアで調剤を扱っているところも多いですからね。

はい、ドラッグストアで調剤を取り扱うことにはメリットも多いのです。ドラッグストアは、土日祝日や夜間も営業していますし、駅前やロードサイドなどの立地にあることが多く、仕事帰りに処方箋を持ち込む会社員などにとっては、利便性が高いですよね。

収益性の高い調剤に加え物販も行っていますから、ドラッグストアで薬剤師に支払える給与の原資は調剤薬局よりも多いと言えます。さらに、大手のドラッグストアなどでは24時間営業の店舗も多く、土日も出勤しなくてはならなかったり、夜遅くまでの勤務もあることから、給与を高くしないと採用できないという事情もあるのです。

これも需要と供給の関係ですね!薬剤師の働く職場によって、給与が違ってくる理由がよく分かりました。