街のオアシスでありたい株式会社タカサ | 代表取締役 鎗田 貞子氏

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意地の多店舗展開

今年、創業40周年を迎えられますね。

1980年10月の創業ですから、今年(2019年)10月に40年目に入ります。

お蔭様で3月に50店舗目を錦糸町に出店しました。

薬局開業のきっかけは?

創業の少し前から医薬分業が進みだしていました。私の夫は医師で、当時は鎗田病院におりました(現:やりたクリニック院長)。私と義理の姉が薬剤師だったので、「じゃあうちも分業しようよ」ということで、市原で薬局を始めたのが最初です。

時代背景で言うと、1974年に医師の処方箋料が50円から一挙に500円に引き上げられ、院外処方箋の発行が活発になってきていました。

当時、薬局は他の薬局から200m離れていれば開設OKという時代でした。ところが、病院、医院からの薬局の独立性が言われるようになって、役所から指導が入るようになってきました。

資本提供を受けないとか、役員がかぶらないとか、薬局の独立性の問題で役所がいろいろ言ってきた。

私、薬剤師がどこで薬局をやろうが違法じゃないでしょと思っていましたが、経営者降りろとか場所変えろとか、県や社会保険局が言ってきてだいぶやりあいましたね。結局、経営分離して自分ひとりでやりはじめたのです。88年ぐらいから介護用品の仕事も始めていてタカサの名前も通っていましたので。

その後90年代にかけて多店舗化が進んでいきますね。

もうそこからは意地で店を増やしていきましたね。1店舗だから場所がどうのと言われるのだから、たくさん作ってやれということで(笑)。以前、経営者仲間に「もういい加減、意地で仕事をするのはやめなさいよ」といわれたこともありました。

役所への反骨精神で多店舗化ですか。

医者の女房だから、病院の関係者だからというので薬剤師会からのバッシングもありました。ホント、意地で増やしていきました。もちろん、それ以外にも多店舗化することによる経営の安定性ということもありました。経営の勉強をするためにジャスコ、ニトリ、サイゼリアなどと一緒に渥美俊一先生の指導を受けたのです。チェーンストア理論を学んで、1箇所の怖さを知りました。

チェーンストア経営を研究するペガサスクラブに入られた。

そうです。理論的に考えると1箇所の利益が小さくても沢山あれば、どこかつぶれても全体は維持していけると。最初の薬局は市原から始まったのですが、先生から先生の紹介で広がっていきました。それで千葉県が多いのですね。今ではそうでもないかもしれませんが、医師との信頼関係がないと薬局は開いていけないですね。医師からしてみると薬を渡す人間がどんな人間なのか心配ですから。



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すべては「何とかしてあげたい」という気持ちから

薬局の展開以外に介護用品販売や福祉機器のレンタルを随分早くから始めています。

そうですね、その当時はありませんでしたね。調剤をしていて、いろんなことを聞かれるのです。床ずれをしたのでどうしたらよいかとか、おしっこ漏れやストマのこととか。そういった相談に何とか応えてあげたいという思いで介護用品の事業が始まっています。ですから最近増えている高齢者向けより、障害者向けの介護用品がもともと強かったですね。

薬局内で販売しているのですか?

いいえ、薬局内ではスペースがとれないし、薬剤師や事務の人が専門的知識をつけるのはなかなか難しいのですよ。間違ったことをお客さんに薦めてはいけないですから、ライフケアタカサという名前で船橋や茂原など5カ所に支店を設けて、営業が居宅に伺うような体制にしました。現在では50名ほどの専門知識を身につけた営業が活躍しています。ショールームも設置しました。介護用品のショールームは、珍しかったので新聞にも大きく取り上げられました。薬局は情報発信基地としての役割と考えています。カタログを置いたり、例えば杖の使い方のビデオを流したりしています。

それ以外にも居宅介護やサ高住なども展開していますね。

現在、薬局事業部のほかに介護用品や福祉機器などを扱うライフケア事業部、デイサービスやサービス付高齢者向け住宅の運営を行うヒューマンケア事業部があります。

私は、やるとなれば専門的にやりたいという考えで、まず自分で勉強してやってみる。介護用品もそうですが、介護保険ができた時も自分でケアマネをとって3年ぐらいはお客さんを持って自分でやりました。現場がわかっていないと社員にも教えられないし、事業化はできないと思っています。でも全ての事業は、薬局に来た方のいろんな相談を受けている中で、なんとかしたいという気持ちから始まっています。うちに来てくれたら何か得られる、砂漠のオアシスのような存在になりたいという気持ちです。

会社理念である「オアシス」はそこから来ているのですね。

そうです。最初に薬局を始めてそこでいろいろ相談されることに対して「何とかしてあげたい」という思いからいろいろ広がってきました。ただ、人にまかせるとか、表面的に手がけるのはいやで、やるからには専門的に究めていって、お客様がそこに行ったら何かを得られるようにしたい。それが自分の仕事だと。そうしたことを言葉にしたのがオアシスです。



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在宅医療にも注力

ここ2年ほどは出店ペースが落ち着いているようですが。

最近は薬剤師不足で、出店依頼はあるのですがかなり断っています。それに、これからの調剤薬局は、マンツーマンは難しいと思っています。どうしても危険性があります。いくつかの医療機関との連携での出店という方法しかないかなと。そうすると、そう次から次へと出店するわけにはいかなくなってきます。

今年初めて東京に「PARCO錦糸町店」を出しました。

千葉県は特に南部の地域で人口が減っており、薬剤師もそうした地域では採用しづらくなっています。市部でも、歳をとると都心に出て行く人が増えている。ということで都心に出ていくのがこれからの方向かなと考えています。今回は、たまたまご紹介があり、初めて東京に出店することになりました。

在宅医療にも注力されていますね。

もうひとつの出店の方向として、居宅専門の出店を進めています。既存の薬局で居宅が増えてきて人が足りない、要求されても行けないという状況がでてきました。外来と両方だと回しきれなくなってくるのですね。それに既存店舗ではスペースが足りなくて、自動分包機や鑑査機など大きな機材を入れられないところが多い。また、居宅の場合、弁当箱方式と言っているのですが、一人の患者さんの朝・昼・晩の薬を1回ごとにつめるために薬を広げる場所も必要です。既存の店では調剤室の拡大が一部でしかできません。そこで、14年に居宅専門の薬局タカサオアシス柏店を、さらに今年、オアシスとけ店を開設しました。



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これからの薬剤師への期待

採用の方向性として派遣から直接雇用への切り替えを進めるということですが。

先ほど薬剤師不足と言いましたが、派遣の人はたくさんいるのです。ただ、派遣の人はなかなかオールマイティには動いてくれない。決まった時間、決まった業務だけをやるということで、会社の理念を共有することは難しいですよね。限られた時間しかできない場合でもパート社員として、同じ意識を持って企業の一員として働いて頂きたいなと思うのです。これからロボット化やAI化が進むと、定型的な仕事はどんどん無くなっていくのだと思います。そういった時代に医療人としてどう働いてもらうかを考えると、派遣でなく社員化を進めたいと思っています。

社員の育成についてはどうお考えですか。

中途採用の面接をしていると、新卒で大手に入った薬剤師が何人か来るのですね。「まだ入社してそんなに経っていないのに何で転職?」と聞くと、何も教えてもらえないうちにあちこちの店に転勤させられ、わずかひとつ上の人が管理薬剤師という状況でこれからが不安になるというのですね。私は経営者として、うちに来たからにはその人に対して責任を持つのが当たり前と考えています。タカサでは新卒から3年間は教育期間として、フォローアップセミナーを行っています。

具体的にはどんな研修を行っていますか。

毎月1回会社で研修を実施しています。社長が経営のことを話し、その後、社内講師が薬剤師セミナーを行います。新卒から3年間は必修です。そのあとは自分で決めてくださいと。また、外部研修は、「薬剤師あゆみの会」に入っていて最初の3年間は半年に一回大阪に行って研修しています。費用は結構大変ですが、外部でないとできない研修もありますし、他の企業との交流や情報交換もできて刺激を受けることもあります。そのほか、個人につく資格は自分で取るべきという方針で補助の形をとっています。例えば、認定はeラーニングを半分補助したりしています。また、外部講師を招いたセミナーも都度実施しています。

0402通達にもあるような調剤業務の部分的なシフトについてはいかがですか。

タカサでは、アシスタント制といって、居宅で薬歴、残薬をチェックしたりする事務員を育成しています。また、

ピッキングは、事務に社内試験でクラス認定をした上でやっていただいています。調剤の補助ができる人は制服も事務服ではなくブルーの白衣を着てもらっています。そうすることで、患者さんにもこの人は薬剤師ではないけど業務ができる人なのだなと分かってもらえます。

薬剤師の反応は?

最初は抵抗がありました。業務をやらせて何かミスが起きたらどうするのですかと。でも、薬局の中で起こることは全部薬剤師が責任を持つのが前提だと思います。「もし何かあっても、チェックしないあなたが悪い。そこは事務員がやろうと本人がやろうと一緒だよ」と話しています。

これからの薬剤師に求められるものは何ですか。

私が大学生の頃は薬学部の講義は分析とか合成とか「化学」でした。体内動態とかは全くやっていなかった。それがいまは6年制になってそうした勉強をしているのですから、薬剤師は医者と一緒になって薬の目で医療を担うことが絶対必要だと思います。往診同行をしている薬剤師と話をすると、仕事がとても楽しいと言うのですよ。医師が、ここは君のほうが専門だからといって任せてくれるのですね。それに応えるためには日々の勉強は欠かせません。単にお金をもらうための仕事では無く、いかにして医療に貢献するかを考えることが大事です。医師の意識も変わってきています。特に訪問の先生は薬剤師に結構頼ってきています。私が薬剤師になった頃は、薬剤師は医者に言われた薬を出していればいいという意識でした。でも今は、特に若い先生は意識が変わってきていると思います。

先輩として女性の薬剤師にメッセージを

女性は、どうしても出産、育児の問題があります。私自身3人の子供を育てながら薬剤師を続けてきましたので大変さは良く分かります。特に現代は、様々なことが日進月歩で進んで、ブランクがあると戻るのが大変です。保険制度にしても産休、育休の2年くらいで大きく変わってしまう。仕事にしても勉強にしても、短時間でもいいからどこかで接点を持ち続けることが大切だと思います。せっかくの資格ですから一生使っていくべきです。

時間はパートでも、仕事の内容はプロという意識を常に持って医療人として活躍して欲しいと思います。

企業データボックス

会社名 株式会社タカサ
代表者名 代表取締役 鎗田 貞子
代表取締役 三村 幸司
本社所在地 千葉県市原市五井東1-1-1
店舗展開エリア・店舗数 千葉県・東京都、50店舗
従業員数 548名(19年6月1日現在)
売上高 898,700万円(2018年)
資本金 7,000万円
設立 1980年10月7日

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