【病院薬剤師】というキャリアについて考える

column_09_a_ogp.jpg病院薬剤師の数は薬局勤務者の3分の1

約6万人。2019年に厚生労働省が発表した医療機関に所属する薬剤師の数です。うち5万4千人が病院、6千人が診療所に従事していると報告されています。一方、薬局に従事する薬剤師は約18万人で3倍の開きがあります。

約40年前の1982年には医療機関勤務者約3万人に対し薬局勤務者は約4万人と、今ほどの差はありませんでした。しかし各種法律の改正、報酬改定、医療や生活様式の変化によりその差は開く一方で、1998年には医療機関勤務者約4万人に対し、薬局勤務者は約8万人と2倍となりました。そして今は3倍です。

薬局、ドラッグストアチェーンの高年収化や薬学部6年制以降の高年収勤務先へ流れる就職観の変化なども影響しているものと思われます。

施設別にみた薬剤師数
総数 311,289
医療施設 59,956
うち病院従業者 54,150
うち診療所従業員 5,806
薬局 180,415
うち代表者 16,698
うち勤務者 163,717
介護保険施設 832
大学 5,263
医薬品関係企業 41,303
衛生・保健行政 6,661
その他 16,856

※平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況より

病院薬剤師の年収は?

薬局の高年収化に対して、確かに病院勤務の年収は抑えられがちです。日経HRエージェントに寄せられている求人の平均年収は別表の通りで、やはり病院の提示年収は薬局に比べてやや低めです。しかしながら人材紹介コンサルタントによれば、新型コロナウイルスの影響により薬局の経営環境が悪化する中、提示年収が下がる傾向にあり、特に首都圏では病院との開きは少なくなっているようです。

1都3県
年収平均
下限
年収平均
上限
病院 406万円 510万円
調剤薬局 432万円 586万円

全国
(1都3県除く)
年収平均
下限
年収平均
上限
病院 377万円 505万円
調剤薬局 429万円 617万円

(2021年4月 日経HRエージェント調べ)

医療施設ならではの就業規則、福利厚生の充実も

column_09_b.jpg一般的に転職する場合、年収に目が向きがちですが、就業規則の存在、福利厚生や実際の勤務時間、異動の有無なども留意すべき点です。

急性期病院などでは一定の残業も発生しますが、医療法人であれば就業規則が存在するため労務管理がしっかりしていて残業代も確実に支払われます。また定期昇給や退職金なども見込めます。

複数の病院を持つ法人ですと異動が気になるところですが、薬剤部長などの管理職でなければ通勤が考慮され、異動は少ないようです。

年収以外で重要なのは福利厚生です。病院施設に併設される従業員食堂なども決して軽視できませんし、温泉やフィットネスクラブなどとの提携により格安利用が可能になるなど「出ていくお金が少ない」という可能性もあります。

臨床に携わり、専門性を磨ける

 病院勤務は病棟業務を通じてチーム医療や治験業務などに携わり、患者に寄り添う医療を経験できるのが最大の特徴でしょう。また大病院の場合、科目も多く、様々な疾患を知ることで薬剤に関する知識も増えます。

 転職する場合、年収以外にも転職先の諸条件、自身の家庭環境やキャリアの志向性を含めて十分に検討することが必要です。

column_09_c.jpg