集約進む薬局、これからの薬剤師の働き方とは

2020年1月26日付けの日本経済新聞に調剤薬局、大手に集約進むという記事が掲載されました。記事によると、報酬改定や後継者不足を背景に個人薬局の大手への身売りが急増しており、専業・ドラッグ9社の調剤薬局店舗数は2019年末で初めて7千店を超える見通しとのことです。

大手3社で9割を占めるコンビニや上位10社のシェアが7割になるドラッグストアとは比較になりませんが、調剤薬局における大手の占有率は徐々に増えています。アイン、日本調剤、クオール、総合メディカルなど調剤薬局大手は新規出店の約7割がM&Aによるものとみられ、薬局全体の7割を占める個人経営の薬局や小規模チェーンがそのターゲットとなっています。

また、ドラッグストアの新規出店の大半は調剤併設型となっており、中小のM&Aはもちろん、マツキヨ・ココカラの来年10月統合のように大手同士の合併も進んでいます。アメリカのドラッグストアはすでに大手2グループに集約されており、日本でも大手同士の統合・合併が進むものと思われます。

column_04_a_ogp.jpg新卒大量採用で中途は中断も

さて、こうした状況の変化は当然、今後の薬剤師の採用や働き方に大きな影響を与えます。以前このコラムでも取り上げた通り、大手企業は大量の新卒採用を行っています。このため、大手ドラッグを中心に新卒による薬剤師の充足が進んでおり、中途採用が減る傾向があります。S社は春まで、T社は秋まで中途採用はストップという情報もあります。国家試験の合格率も勘案して新卒採用を行っているようです。

また、M&Aによって大手に吸収された店舗の薬剤師は、一定期間後の給与・待遇の変更を機に転職するケースがみられます。特に中高年の場合、個人薬局に長く務めてきた薬剤師は高年収であることが多く、給与ダウンに見舞われることが多いようです。大手は、入り口では高い給与で新卒を引き付けていますが、その後は職務によって待遇はかなり変わっていきます。年収1000万円を超える本部の幹部職へ上がっていく薬剤師がいる一方、勤務薬剤師として調剤を続けていく場合はそれほど収入がアップしていきません。本部要員を外部から採ることはあまりないため、大手の中途採用の年収はあまり高くない事が多いようです。


薬剤師の場合、一般産業界で検討されている「JOB型雇用」が既に進んでいるともいえるかもしれません。JOB型は年齢に関係なく働けるメリットがある一方で、「この仕事はいくら」という対価の決まり方をするため、漫然と同じ業務をしていては収入は増えないということになります。

column_04_b.jpg大手が中小をM&Aするケースについて述べましたが、一方で利益率が悪化した店舗を売却しています。診療報酬の改定で大手が経営する集中率の高い門前やマンツーマン薬局の調剤基本料が大幅に下がり、採算が取りにくくなっているからです。これを個人が承継すれば調剤基本料が元に戻るので採算がとれるため、独立を考える薬剤師が増えているようです。


中高年薬剤師が今後のキャリアを考える場合、こうした独立も一つの選択肢かもしれません。
実際、当社にも独立を見据えたうえでの転職相談を受けることも多くなっています。最近、経営ノウハウを伝授して、のれん分けをしてくれる薬局への転職というケースがありました。


いずれにしても大きく変化していく薬局業界の中で、薬剤師としてどう働いていくのか、今までに増して真剣に考えなくてはならない時代になってきたことは事実です。